11月のやってみよう けんちん汁で温まろう
体も心も冷えてしまった… そんな夜は けんちん汁で温まろう
ダイコンやゴボウなど冬野菜たっぷりのけんちん汁は、寒くなってくると食べたくなる料理の一つ。「一手間で、いつもの味がグレードアップしますよ」とは、水戸市の料理研究家・羽鳥みよ子さん。熱々、具だくさんの一杯で、心までぽかぽかに。
▲芋がらや油上げも定番具材。しょうゆとみそで味付けする家が多い
◇けんちん汁は、具材を油で炒め、だしで煮込むのが基本的な作り方。「簡単に作れて、栄養たっぷり。強い味付けをせず、それぞれの素材の持つ味を引き出してあげると、より優しくて、ほっとする味に仕上がります」と、羽鳥さん。
羽鳥みよ子さん
〈材料〉(4人分)
ダイコン300g、里芋4個、ニンジン1/2本、ゴボウ1/3本、ネギ1本、白菜2枚、こんにゃく1/2枚、木綿豆腐1/2丁、だし汁5カップ、サラダ油大2、しょうゆ大2、塩こうじ大2
〈作り方〉
@ダイコン、ニンジンは厚さ5〜7mmのイチョウ切り。里芋、ゴボウ、こんにゃく(長さは3cm)も同じ厚さに切る。白菜はざく切り。
A [@]を油を敷いた鍋に入れてしっかりいためる
B [A]にだし汁を入れて、強火にして沸騰したら、弱火にしてあくを丁寧に取る。塩こうじを加えて、ふたをして30〜40分煮る
C野菜がやわらかくなったら、味付けをして、手でくずした豆腐とぶつ切りにしたネギを入れて煮る。
グレードアップ4か条
グレードアップのポイントは三つ。
T.だしを丁寧にとる
いいだしがとれると、味付けが薄くて済み、素材のうま味が生かせる。「とりたては香りも抜群です」。だしのとり方の基本は、(5カップ分)=鍋に5と2/1カップの水を入れて沸騰させ、削り節20gを入れる。菜ばしでさっと削り節をしずめ、弱火で1〜2分煮る。ボウルにざるや万能こしきをのせてペーパータオルを敷き、だしをこす。
U.しっかり煮る
「煮る時間が少ない人が多いようですが、具材全体が調和し、味がまろやかになります」
V.塩こうじをプラス
野菜それぞれの甘みやうまみを引き出し、味に深みが出る。「加えるだけで、びっくりするくらいの変化があります。お試しを」
W.大鍋にたっぷり作る
温め直して食べると、味がよりしみ込んでおいしい。具を足したり、そばやうどんの汁にするなど、味や食べ方をアレンジしてもいい。
「楽しく工夫して、“わが家の味”を育てて」と羽鳥さん。
◎栄養満点です
◆ゴボウやダイコンなど、けんちん汁に使う具材の多くは、冬になるとおいしくなる根菜類。根菜は、@食物繊維が豊富で、胃腸の調子を整えてくれるAビタミン豊富で風邪予防にもB体を温めてくれる…など魅力がいっぱい。「飲み会などで飲み過ぎた後の体の栄養補給にもおすすめですよ」
◎「けんちん」って!?
◆鎌倉・建長(けんちょう)寺の精進料理が語源という説と、中国の普茶(精進)料理の一種「巻繊(けんちぇん)」を語源とする説がある。
◎われらが郷土食
◆熱々のけんちん汁に、冷たいざるそばをつけて食べる「つけけんちん」は、本県が元祖の郷土料理。旬の野菜を入れた汁と、新そばの組み合わせは、この時季の茨城の自然の恵み満載のメニューだ。