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お酢でさっぱりの豚肉煮込み
おいしすぎて兄弟げんかも
フィリピンの「アドボ」 平野ソリータさん(水戸)
大胆にカットされた豚バラ肉とジャガイモの煮込み料理だ。「酢の酸味が効いてさっぱりとしているから、これからの季節は最高」と水戸市西原の平野ソリータさん(54)。
フィリピンのマニラ出身で、日本に来て30年のソリータさんは、家庭料理の代表格だという「アドボ」を作ってくれた。
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フィリピンで出会った日本人の夫との間には、2人の息子がいる。料理の腕前は、水戸市備前町の国際交流センターで教室を開いたことがあるほど。義母に教わったおかげで、日本食のレパートリーも多いが、「そのせいで子どもたちがフィリピンの料理に慣れてくれなくて」。
しかし、このアドボは、息子たちと夫からも定期的にリクエストされる人気メニューだという。
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「おふくろの味というより、お父さんの味なの」とソリータさんは笑う。フィリピンの男性は、料理などの家事に、日本の男性より、はるかに積極的だからという。
大皿に盛ったアドボを、食卓に運ぶお父さんの笑顔は、今も忘れない。その後はいつも、5人の兄たちのけんかだ。「『お前、肉ばかり食べるなよ』。みたいな感じ」。最後は、お皿の底に残ったスープをご飯にかけて食べるのが、最高のぜいたく。「それは、一番上のお兄ちゃんの特権だった」
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「本当のアドボは、もっとおいしいのよ」とソリータさん。
酢としょうゆが、日本と、フィリピンで違うからだという。ソリータさんがお気に入りフィリピンの酢は、ヤシの実が原材料。しょうゆは、大豆の風味がはるかに濃いという。「息子たちもフィリピンに行ったとき、おばあちゃんが作るアドボのおいしさに驚いていたから、日本人の味覚にも合うはずよ」
その息子たちも、もう20代。「彼女を連れてきたら教えようと思っている料理が、アドボ。やっぱりふるさとの味は自慢だし伝えていきたい」とソリータさん。