▲(写真上)かき揚げを持つ海老沢さん(中央)と家族。(同下)揚げたての川エビのかき揚げ。塩ゆでしたエビを使用しているため、そのまま食べてもおいしい
行方・歳末漁師市 川エビのかき揚げ
行方市玉造甲の道の駅たまつくりで12月28・29日、地元霞ケ浦の幸が並ぶ歳末漁師市が開かれる。恒例の同市で行列ができるほどの人気を集めるのが、市の仕掛け人の一人でもある漁師、海老沢武美さん(66)が提供する出来たての川エビのかき揚げだ。
使用するエビは、小さな体にうまみが凝縮したテナガエビ。地元産のミズナとあえて現場で揚げる。かき揚げ全体に赤みが浮かぶほど、エビの量が多い。
市では、海老沢さんを含む4軒の漁師が、それぞれの魚介を“浜値”で販売するほか、地元商店などの出張営業もある。
海老沢さんが市の開催を提案したのは、時代の“大波”に飲み込まれないようにするためだったという。
「輸入物の食材が、身近で当たり前に販売される時代。このままでは、地元に目を向ける人がいなくなってしまう」
海老沢さんの妻、恵子さんは、市に来た人に、販売する魚介の産地を聞かれて困惑することがあると話す。「会場は霞ケ浦湖畔なのに」
でも、そんな人ほどリピーターになることが多く、市を開く意義を確信させる。「地物のおいしさに驚いてくれるの」
市を始めて、海老沢さんの側にも変化があったという。それまで湖上を漁船で走るときに何よりの幸せを感じた海老沢さんだが、客の前でも湖上と変わらぬ思いを抱くようになった。笑顔に囲まれた瞬間には、「まさに大漁の気分」と豪快に笑う。
「かき揚げが冷たくなったら、だし汁に漬けて卵でとじてみて。オレの子どものころからの大好物だよ。あと、シラウオの煮干しに、コイのうま煮・・・」
かき揚げのほかにも、海老沢さんがすすめる霞ケ浦の幸には切りがない。「茨城のみんなを笑顔にしたいんだ」と海老沢さん。
【メモ】歳末漁師市は行方市など主催。行方市漁業振興協議会事務局(同市農林水産課内)TEL.0291・35・2111。